2009年03月13日

大阪鶴橋『よあけ』で朝から遭難 01

yoakeiriguitu080333333.jpg
クリックすると拡大

 この『よあけ』を取り上げるとき、「市場めし」にした方がいいんじゃないかと悩みに悩む。
 しかし、串カツに、いわし汁にエイの肝の刺身、そして酎ハイ、こんなもんが本来健全であるべき朝ご版といえるだろうか?
 画像を見ながら繰り返し考える。
「どない考えても、あんさんにとって『よあけ』は居酒屋ですやろ」
 夢で浪花千栄子(だれも知らへんやろな)風のオバチャンにこないなことを言われてしもうた。
 夢にまで見るほどに『よあけ』の食いもんには衝撃を受けたのだ。
 加えるに、気分よう酒がくいくい飲めたのである。

 さて、三月(2008年の)だったろうか?
 大阪に島流しにあっていたヤガラさん、どさ回りのまささん、ボクの三人で鶴橋の商店街・市場を放浪していたのだ。
 鶴橋の迷路を彷徨い、迷いながら、向こうに千日前通りが見えるな、というところまで来た。
 ふと横を見ると鶴橋でも一際細い、薄暗い路地があった。
 入り口に何故か小さな地蔵堂があり、その隣に紺暖簾が下がる。
 それが『よあけ』だったのだ。
 この店名にピンと来た。
 確か、『大阪下町酒場列伝』に載っていたはず。

 ここでちょっと鶴橋の歴史を『大阪「鶴橋」物語』から。
 鶴橋には戦前から近鉄、国鉄(古くは省営鉄道)、市電(千日前通りを走る路面電車)の駅があり交通の要衝であった。
 第二次世界大戦の末期に空襲に備えるために、防火の意味から建物疎開というのがあり、民家の密集した鶴橋もその対象となる。
 強制的な撤去で駅を中心に広大な空き地となったところに敗戦を迎える。
 この空き地に闇市が出来たのだ。
 交通の便からも大阪でももっとも賑やかな闇市となり、それが時を経ていくつもの商店街となる。
 また戦後、鶴橋地方卸売り市場が出来たことも、この鶴橋の繁栄に一層の拍車をかけたことと思われる。
 『よあけ』から千日前通りにかけては建物疎開の地区ではなかった。
 しかも空襲に遭わなかったために、戦前の建物はそのまま残っていたのだ。
 空き地と、焼け残った街との間隙にできた細長い空間に非常に細長い路地が出来て、細長い建物ができた。
 この細長い建物にあたるのが、『よあけ』なのだ。

fukuya0903.jpg
●クリックすると拡大

 もうひとつ重要なこと、鶴橋は街全体が市場なのだ。
 なぜなら商店街と市場の違いは些少なもの。
 要するに人が集まるところが「市場」だとしたら同一のものと考えるべき。
 特に鶴橋には5つの商店団体があり、地方卸売市場もある。
 その団体名にも「市場」という文字がついたり、「商店街」という文字だったりして、よけいわからんようになる。
 要するに近鉄、JR、地下鉄、鶴橋駅周辺の非常にごちゃごちゃした地域全部が市場だと思えばいい。
 「鶴橋に行こう」=「鶴橋市場に行きまひょ」と同義なのだ。

 鶴橋市場は楽しい。
 面白いことに、まだ子供の姫と来て、夢中になって迷路を歩き回ったことがある。
 また迷路で出合う世代も様々である。
 ゴチャゴチャした、昭和とコリアンの混ざる「ごった煮めいた(藤田綾子さんの表現をお借りした)」街は老若男女を問わず惹きつける力を持っているようだ。
 さてこれからが「ぼうずコンニャクの酒場遭難記」の始まり始まりなのだ。
 ボクと他オヤジ二名(ヤガラさん、まささん)、若い(?)娘一名(おふるさん)が鶴橋の迷路に酔い、そして『よあけ』の酒に酔う。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
参考文献/『大阪下町酒場列伝』(井上理津子 ちくま文庫) 『大阪「鶴橋」物語』(藤田綾子 現代書館)
posted by ぼうずコンニャク at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒場遭難記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月15日

山廃仕込 香住鶴

kasumituru090101.jpg
クリックすると拡大

 神戸市垂水に立ち寄ったのは返す返すも大失敗であった。
 目的の市場はすでに息絶え絶えの状況にあり、なにも得るべきものがなかったのだ。
 垂水から神戸線で姫路に出る。
 ここから岡山に行き、特急やくもに乗るつもりだが、西明石で新幹線にするべきかどうかを悩みに悩んだ。
 姫路で降りて、地下の商店街でワンカップを買い求める。
 銘柄もなにも関係ない。
 とにかくあったものを買い求める。
 値段は240円だったと思う。
 なにしろ新幹線の発車時刻は迫っている。
 階段を駆け上がり、ホームを走ってやっとこだまに乗り込む。
 しかし朝から慌ただしい限りだ。
 昼飯には早すぎるし、ここでワンカップで一息なのだ。
 ボクの勝手な思い込みだが、
 鉄路にはなんといってもワンカップが似合っている。

 当然列車が動き出してから蓋を開ける。
 いい香りがして、思ったよりも切れのいい味わいだ。
 山廃仕込みなのに喉越しもいい。
 これはワンカップとしてはよくできた酒ではないか。

 香住と言えば松葉蟹(ズワイガニ)で有名である。
 日本海の魚貝類も豊富であり、ここに「香住鶴」があるのかと思うと、それだけで日本海の香住という町が魅力的に思える。

2009年2月9日
香住鶴 兵庫県美方郡香美町香住区600の2
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 16:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ワンカップ図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月07日

スルメイカとヒロコの辛子酢みそ合え

hiroko090101.jpg
クリックすると拡大

 築地には魚市場とやっちゃ場がある。
 関東では青果市場のことを「やっちゃ場」というのだけど、なぜだろう?
 広辞苑で「やっちゃ」とは威勢のいいかけ声のことだとある。
 威勢のいいかけ声が飛び交う場所ということで「やっちゃ場」なんだろう。

 築地正門から右手にあるのが「やっちゃ場」。
 ここで見事な「ヒロコ」を見つけた。
 「ヒロコ」とは「ひるこ」だろう。
 「ひる」はユリ科のネギのたぐいということで、「子」とはまだ小さいと言う意味。
 関東では「浅葱(あさつき)」と呼ぶ。
 秋田県産であって、これだけで遠く秋田市民市場裏のヒロコや月山竹を売っていた光景が思い出される。

 ヒロコはさっと湯がく。
 この同じ熱湯の中でスルメイカの短冊を、これまた湯がいて、おか上げしておく。
 砂糖、赤酢、煮きり味醂、味噌を合わせて、どろ酢を作り、辛子を練り込む。
 あとは説明するまでもないが、食卓に出す直前に和えるだけ。

 ちょっと白っぽいが、口に放り込むと、春らしい香りが満ちてきて、スルメイカの甘さと、ヒロコの甘さが合わさってくる。
 これに合わせるのは冷や酒に限る。
 今回の酒は島根県雲南市木次町の『美波太平洋 純米吟醸』。
 山陰なのに太平洋、しかも「美波」とはなんぞや? とは思うものの、なかなかうまい酒だ。
 春の香りの和え物に山陰山間部の酒を合わせて、やや深酒となる。
 
2009年1月10日
木次酒造
http://www.kisukisyuzou.com/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/surumeika.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 13:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒のつまみと肴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月29日

“松江おでん”で深酒す、殿町『有楽』

 島根県松江に来たら「なにを食べる」。
 宍道湖七珍、出雲そば、和菓子、こう答える人たちはあまりに松江を知らなさすぎる。
 松江に来たら「おでんを食べないけんの」だ。
 市内各所に無数に、膨大にあるのが、おでん屋。
 そのどれもが一定のレベルに達しており、個性的でうまいという。
 これをして人知れず「松江おでん」と呼ぶようになっている。
 じゃあ、旅人におすすめの一軒はどこなんだろう?
 根っからの松江っ子であるヤマトシジミさんに問い掛ける。
「あんまり、教えたくないんですけど」
 この男、まだどこかに出雲人的な考え方を捨てきれてなない。
 出雲人の特徴は「うまいものはこっそり楽しむ」というものだ。
 意地悪なんじゃなくて、あまり見せびらかさない、謙虚なのだ。

 問いつめて、問いつめてあがったのが松江城、県庁からすぐのところにある『有楽』である。
 逢魔が時の寒風のなか、うまいおでんを食うために、太りぎみのボクとヤマトシジミさんが歩く。
 そこに自転車にのったトーボさんがゆらゆらとついてくる。
 歩くほどもなく、広い道路沿いに仕舞た屋風の店があって、それが『有楽』であった。

yuraku0812120.jpg
クリックすると拡大

 そういえば“なぜ松江市内の道路を広くする必要がある”のか理解できない。
 城下町の特徴として[曲がりくねった、わかりづらい道]というのがある。
 戦国時代まで、城は攻撃から守るものであって、他所から来る敵を混乱させるためにわざと道を複雑に造っている。
 これからの世の中、産業的な町と観光・象徴的な町は完全に分けてあるべきだ。
 松江市などまさに後者でなければならないのだから、出来る限り道路でも街並みでも現在の状態を変えない方がいい。
 むしろ復元に努力すべし。
 道路を造るなら東西に長い県を結ぶ幹線を整備せないけんのではないかね、道を造る人よ。

yuraku0812122.jpg
●クリックすると拡大

 閑話休題。
 店内に入ると、まず目に飛び込んできたのが美しい女性だった。
 いきなりぼんやり頭が固まった状態にいるとき、
「とにかく席につきましょう」
 トーボさんが、現に引き戻すようなことを言う。
 考えてみるとトーボさんとボクとは女性の好みが似ている。
 きっとトーボさんもぼーっとしかけて「いかんいかん」と自制心を発揮。
 ボクにも大きなお節介をしてくれたのではないか?

 閑話休題の閑話休題。
 目の前にあるのが、カウンターでおでんの鍋を囲ってある。
 奥にも席があって、座敷もあるように思える。
 そのおでんのつゆが透明で澄んでいる。
 手前に燗つけの鍋があって、赤銅でなかなか見事なものだ。
 真四角のおでん鍋の前に大量の春菊があって、ときどき美しい女性のお母さんだろうか、女将さんがどさっと放り込む。
 おでんつゆでささっと洗うように煮あげた春菊がうまそうではないか?

oden081212.jpg
●クリックすると拡大

 とりあえずビールと大根、がんもどき、春菊を注文する。
 おでんだから、すぐにやってきて、まずは一口と、食べた大根がうまーい。
 熱つ熱つに冷えたビールがなんともいえない。
 がんもどき、そして春菊がうまい。
「つみれください」
 ヤマトシジミさんがもう追加。
「ここのつみれは最高です。ある意味、松江おでんの特徴でしょう」
 当然、ボクも負けていられない。
 つみれに、燗酒といっきに全開モード。
 つみれのうまさは出色のものだ。
 燗酒は銘柄を指名して「高正宗」。
「隠岐にしかないはずなのに、珍しいですね」
 品書きをみて、ヤマトシジミさんの一言で決めた隠岐の銘酒だ。
 これがさっぱり辛口で燗をしてもうまい。
 おでんを追加に追加して堪能。
 もうこれ以上ない、というときに、
「ここにもうひとつ名物があるんですよ、ほらあれ」
 品書きの下がった札に、コロッケがある。
 一見平凡なジャガイモコロッケがやってきた。

korokke081212457.jpg
●クリックすると拡大

 これがまことに正統な味わいで毎日でも食べに来たいと思うほどにうまい。
 ついつい美しいお姉さんに「熱燗もう一本」なんて幸せな気分になってくる。
 そして熱燗用に注文した島根の珍味、いかの麹漬け、サバの塩辛がよかった。

sabasiokara081212.jpg
●クリックすると拡大

 浜田市名物の「赤てん」もいい。

 さて食べ過ぎるほどに食べて、飲んで、支払いは5000円以下だったはず。
 酔っぱらっていてよく覚えていないのだ。

 外に出ると寒風が気持ちいい。
 こんなとき、トーボさんが
「あのお姉さんきれいだったなー」
 なんて正直に告白するのだ。
 照れくさそうに、トーボさんは自転車にまたがり闇夜に消えていったのであった。

有楽 島根県松江市殿町352
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
posted by ぼうずコンニャク at 10:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒場遭難記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月19日

天神橋筋4丁目『松崎屋』で軽く遭難

tenjinnbasidewau080911.jpg
クリックすると拡大

 大阪には夕暮れ前に着くはずだった。
 着いたらとにかく「歩いてみよう天神橋筋全区間」と勢い込んでいた。
 ところが大阪のホテルに着いて荷物をおいたのが、すでに8時前。
 夜となってしまっては商店街を歩いても意味はないだろう。
 それでも南からのっしのっしと歩いて歩いて、それでも終わらぬ商店街と、人混みに疲れた。
 どこでもいいから座り込みたくなって、思わず暖簾をくぐったのが『松崎屋』。

matuzakiya080911.jpg
●クリックすると拡大

 天神橋筋(大阪市)は当たり前だけど、夜というのに賑わっていて、人通りが絶えない。
 それなのに細長く奥に続く店は少々寂しいなー。
 これは失敗したのかも知れない。

 とりあえず、生ビールに大阪を意識して「きずし」にする。
 「きずし」とは「生ずし」と書くのだけど関東では「しめさば」と呼ばれているものだ。
 このように関東での「しめさば」を援用したのだけど、本家本元は関西にあり、と明示しておきたい。
 この「きずし」に三倍酢をかけ回してる、これなど大阪風でいい。
 蒸し暑い日だったので生ビールをもういっぱい。
 初っぱなから「きずし」というのも変なら、次に注文したのが豚バラのキムチ炒め。

itame080911.jpg
●クリックすると拡大

 恐るべし、こんななにげない一品が非常にうまかった。
 ここでやっと酎ハイに替えて、最後の一品は土手焼きだ。

 最初は静かだった店内もほんのつかの間に奥は満員となっている。
 奥に通じる通路沿いのカウンターもお客が埋まり始めている。

 関西で味噌煮込みの牛すじ、コンニャクなどの「どてやき」はどうしてもはずせないものだ。

doteyaikia080911.jpg
●クリックすると拡大

 残念ながら、この店には串カツがなく、この「どてやき」が東京から大阪にいろいろ旅しながらたどり着いて「大阪に着いたんだ」と思わせるもの。
 でも最近思うことだが、「キムチポッカ」すなわちキムチと豚肉の炒め物なんて「もっと大阪を思わせる」ものなのだ。

 店の入り口でとてもしんどそうに、ゆるゆる歩く店のオヤジさんに、
「天神橋筋、これから北にどれほどあります」
 聞くと、厨房の奥から
「ここからずーっと行くと天神橋○丁目で、通りを超えて○丁目ですね。それから関線路を超えて」
 なんて聞く内に戦意喪失する。
 厨房には若い衆二人いるのだけど、とても大阪風に優しいのである。
 次回、天神橋を歩くときには、中間地点での一休み、まず間違いなく『松崎屋』だろうね。
posted by ぼうずコンニャク at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒場遭難記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月10日

隠岐じゃ黙って「高正宗」

takamasamune08074545.jpg
クリックすると拡大

 3月の隠岐への旅は「楽しかった」、「大変だった」が相半ばした。
 隠岐の問題点を見る旅であって、その離島ならではの苦しみも喜びもたっぷり感じて、いまだに隠岐の旅のとりまとめができない。

 その打ち上げの席に幼なじみの大谷一雄がやってきた。
 この男、隠岐水産高校の教師なのである。
 徳島県の山奥(徳島県美馬郡貞光町 現つるぎ町)からたどり着いたところが、日本海に浮かぶ島であったというのがまことに面白い。
 また島(隠岐)で会えること自体が奇跡ではないか?
 さて、この男、酒席にくるやいなや
「隠岐にきたら高正宗のまんといけんぞ」
 と切り出した。
 その瞬間、酒席のどこかから「高正宗」をかざす人。
 そうなのだ、隠岐に暮らす人は、とにかく「高正宗」と決まっているようだ。

 閑話休題。
 島根県隠岐で好んで飲まれている「高正宗」だけれど、知る人ぞ知る銘酒である。
 だいたい隠岐でしか手に入らない。
 今回のは松江市在住のヤマトシジミさんからのものなのだが、かなり探して送ってくれたようだ。
 我が親友曰く、
「隠岐には辛口の酒がないんじょ(徳島弁)。唯一高正だけが辛口。値段も安すうて、うまい」
 この男、昔から「酒は二級酒がうまい。一級酒を飲むヤツはアホじゃ」なんて言っていたのだ。
 その「高正宗」が昔のうまい二級酒を思わせる男酒だった。
 とにかく切れがいい。そして味がある。
 適度に雑味があるのがまたいい。

 送ってくれたヤマトシジミさんに「ありがとう」。
 そして一言、“隠岐じゃ黙って「高正宗」”なのだ。

隠岐酒造 島根県隠岐郡隠岐の島町原田
posted by ぼうずコンニャク at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本酒図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月01日

「白蘭 純米原酒」は鄙を思わせぬ麗し酒

 新幹線広島駅から芸備線に乗り換える。対面シートのジーゼルエンジンのワンマンカーは広島市街をすぐに出て、山に分け入っていく。
 まるでジーゼルカーが山を切り開いていくかのように線路の両側に山が迫る。
 両側に生い茂っている草や木の枝が車両をバサバサ、ときにごつんとたたく。
 こんなところにもJRの経費節減が及んでいるのだろう。
 当然のことだが単線、各駅停車である。
 時刻表を見ると一時間に一本という超がつくローカル線だ。
 車窓から見えるのは山と川、そして水田だ。
 水をはった田には稲が20センチほどに伸びている。
 夏盛りを思わせるほどに山が黒く、そして緑が濃い。
 人家はどれも立派で母屋は入母屋造り、切り妻造りの蔵があって、その切り妻に様々な文様が描かれている。
 このようなゆったりした汽車の旅も久しぶりのことだ。

miyosihaku0806.jpg
クリックすると拡大
美しい三次の街並み。

 1時間以上かけて三次駅に到着する。
 どうして、こんな山辺に来たのかは別項を立てる。
 市役所に立ち寄り、地図をもらっていると「オリンピック」の文字を見る。
 ちなみにボクは現在の形のオリンピックは廃止すべきだ、という意見の持ち主なので、ぜんぜん興味がない。

 さて三次市は十日町と三次地区に分かれる。物資の集散地として栄えたのは三次であって、駅のある十日町には古い街並みも情緒もない。
 また残念なことに三次市役所の観光課はダメだな。地元の情報に乏しいし、職員さんの知識欲も薄い。
 もしも三次に来ることがあればお金はかかるが、まずタクシーにのって見ることだ。
 この運転手さんの地元の知識は素晴らしい。
 三次市役所など、引退したタクシー運転手さんなどを臨時に雇うべきではないだろうか?
 観光ガイドには載っていないが三次市は、すばらしくきれいで、たくさんの優れた店(小売店)がある。

 この旧三次で見つけたのが「白蘭酒造」だ。
 見るからに古い堂々たる建物で、造りからすぐに酒蔵であることがわかる。
 ここで直接買い求めたのが、純米原酒だ。

hakuran06080806.jpg
●クリックすると拡大

 広島の酒というと、甘口であるとして見つけても躊躇して三歩下がる思いがする。
 それでは広島の山間部の酒はいかがなものか、これがとてもうまいかったのだ。
 原酒であるからアルコール度数が高い。濃厚である。
 それでも淡麗に思えるし、さっぱりしている。
 そして原酒の飲み方の定番としてひとかけらの氷を放り込む。
 精米歩合60パーセントだから吟醸酒になるのだろう。
 氷を浮かせた途端に吟醸香が浮き上がってくる。
 三次市「白蘭」はいい酒である。

 この酒は、ナイトキャップにいい。
 じっくりゆっくり香りや旨味を少量ずつ楽しむ。
 疲れ果てたときに妙薬となる。
 
白蘭酒造
三次市三次町1550-2
posted by ぼうずコンニャク at 10:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本酒図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月15日

島根県出雲市『旭日酒造』の「旭日 純米吟醸初しぼり 戊子」

tutinoe080514.jpg
クリックすると拡大

 島根県は酒どころなんだな、というのを実際に行くようになって知った。だから島根限定して酒買いをするのもなんだか楽しい。それで日本橋は『しまね館』(ここの客の対応はぜんぜんダメだね)で四合瓶を1本買いもとめてきた。今回は銘柄ではなく、1500円前後と決めての買い物だ。
 たぶん、ボクの好みからするとこの旭日と言う酒の「戊子」という訳のわからん、変な文字を嫌って普通は買わなかったかも知れない。ボクは単純な酒飲みなので「カッコつけるんじゃない」というタイプの人間である。

 さて酒に変な謂われはいらない、と思っているので、とっととキャップを開けて、どんどん飲む。
 困ったことにこの酒はどんどん飲める。
 山田錦100パーセントで精米度55パーセント日本酒度プラス6だから、どんどんいけないワケがない。
 ただ、この酒がただものではないと思うのが吟醸香が抑えめで、極めて自然な辛口の酒であることだ。
 これは間違いなく『旭日酒造』自体が優れた酒蔵である証拠だ。
 困った困ったといいながら四合瓶はあっという間になくなってしまった。

 また買いたいというほどにボク好みだ。

旭日酒造
http://www.jujiasahi.co.jp/
posted by ぼうずコンニャク at 06:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本酒図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月28日

3月11日から隠岐への旅がはじまります

 島根県隠岐に関する情報がありましたらお教え下さい。
 隠岐では「べこ(アメフラシ)」、海草類、また様々な水産物出合いたい。
 また隠岐ならではという酒、食品、加工食品、野菜などにも大いに期待が出来そうです
 食堂などおいしいお店もお教え願えるとありがたい。

●一般的なものはこのブログに、個人的な部類、商業的なものはメールにていただけるとありがたいです。
メール
zkan@ZUKAN-BOUZ.COM
posted by ぼうずコンニャク at 12:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月24日

鳥取県岩美町岩井温泉『中島酒店』で昼酒をいっぱい

nakajima0802111.jpg
クリックすると拡大

 2月11日から16日までの山陰、鳥取、島根、山口、山陽岡山の旅はまことに強行軍につぐ強行軍だった。
 そんななかでも唯一、のんびりした時間を過ごせたのが岩美町にある岩井温泉
 遠路深夜バスで辿り着き、網代港での水揚げを見て、浜勝商店でホタルイカをゆでる作業などを見た。深夜バスでの疲れが見て取れたのか、岩美町を案内してくれた川上寿郎さんが連れて行ってくれたのが岩井屋というまことに端正な宿。ここにある温泉で疲れ果てた身体を癒す。
 そして岩美町といったら忘れてはいけないのが『瑞泉』という酒なんだという。この『瑞泉』に関する情報をくれた方々に感謝。
『瑞泉』を買いたいというボクのお願いに、川上さんが連れて行ってくれたのが『中島酒店』である。
 いかにも雑然とした普通の酒屋であり、店内に入ると立派な体格の、気のいい娘さんが出てきた。「これは困ったなー」と思いながら「瑞泉」の四合瓶を探していると、試飲に出してきたのが吟醸でもなく、特別純米でもない普通の「上撰」と「佳撰」の2種類。

zuisen080222.jpg
●クリックすると拡大

 この娘さん、よく見ると美人だし、なかなかやるじゃないの。全国どこでも酒屋に入ると真っ先に進められるのが、吟醸酒であるが、これが迷惑極まりない。その酒蔵の良し悪しは絶対に吟醸酒ではわかるはずがない。

 今夜、ホテルで飲むことを告げると、進めてくれた紙コップ型の「上撰」と絵柄入りのワンカップを買う。ついでに買い求めたのが岩美町の「マルマン醤油」。ちなみにボクは旅の途中で見つけた醤油をどんどん買い求めてしまう。当たり前だが、いつも持ち歩く買い物用クーラーバッグがどんどん重くなるわけで、これも旅の疲れを助長する。
 そんなとき、川上さんが、
「ここじゃ、立ち飲みも出来るんですよ」
 それで立ち飲みのカウンターに座る。ここ一角はもともとは立ち飲み形式だった。それが常連さんの高齢化にともない椅子を置いたのだという。

sinagaki08022.jpg
●クリックすると拡大

 品書きにあったのが「ゆかむり豆腐」。
 実は岩井屋の湯船で川上さんが見せてくれたのが「ゆかむり唄」。頭に手ぬぐいをのせて、唄いながら手桶で湯を叩くように、湯をすくい、頭にかける。
 この面白い名の「ゆかむり豆腐」を食べないと豆腐狂としてはダメダメなわけで、それにはコップ酒もついてくる。

toufu080222.jpg
●クリックすると拡大

 ほどなく出てきた「ゆかむり豆腐」がよかった。
 まずは『中島酒店』独特の練り味噌で半分、残りは醤油、一味唐辛子で食べる。豆腐自体がうまいのもあるが、食べさせ方がしゃれている。
 当然、真っ昼間に飲む「上撰 瑞泉」もしみじみうまいもので、一瞬頭がぼーっとなり、心地よい。

 この小さな小さな温泉場の、隠れ家的な岩井屋に一泊。食後に『中島酒店』で深酒するというのも楽しそうだ。もしも出来ることなら、我が、親戚一同(全国にちらばる)と集まって、この止まり木で深酒に浸りたいものだ。

中島酒店 鳥取県岩美郡岩美町岩井548番地
岩井屋
http://iwaiya.hp.infoseek.co.jp/
posted by ぼうずコンニャク at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 立ち飲み屋の快楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。